営業メールにまつわる「特定電子メール法」って?営業メールで違法にならないためのポイント

  • 2022年6月30日

メールマーケティングが営業手法の1つとして一般的になった現代社会において、特定電子メール法を理解しておくことは重要です。メルマガを配信する際は特定電子メール法を順守する必要があります。この記事ではメールマーケティングを行う際に必要な情報を列挙していますので、メルマガ配信などを行う前に参考にしてください。

特定電子メール法とは

まずは特定電子メール法の概要について説明します。特定電子メール法とは正確には「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」と言い、いわゆる「迷惑メール」を送る事業者を取り締まるための法律です。携帯電話でのメール利用が一般的になり一方的に広告メールを送りつける事業者が増加したことを背景に平成14年(2002年)に施行されました。平成17年(2005年)には特定電子メールの対象範囲拡大や架空アドレス宛ての送信が禁止され、平成20年(2008年)には「オプトイン方式」の導入、違反した際の罰則が強化されるなど時代背景に合わせて法改正されていることが特徴です。

特定電子メール法で定められている事項を知らずにメールマーケティングを行ってしまうと最悪の場合処罰の対象となります。そのためメール営業やメルマガ、ダイレクトメールを配信する際は特定電子メール法について理解して規制を遵守しなければなりません。ここからは具体的にどのようなメールが特定電子メール法で制限されているのか、違反した場合の措置や処罰内容、よく似た名前の「特定商取引法」との違いについて解説します。

特定電子メール法が適用されるメール

特定電子メール法が適用されるのは自分または他人の営業について、広告または宣伝を行うための手段として送信される電子メールです。簡単に言い換えると営業目的のメールには特定電子メール法が適用されます。具体的にはメール内で直接商材の宣伝をしていたり、商材の宣伝をしているWebサイトへ誘導しているメールなどです。また消費者庁のガイドラインによると「SNSへの招待」や「懸賞当選への通知」「友人からのメール」や「会員制サイトで他の会員からの連絡」などを装って営業目的のWebサイトへ誘導しようとするメールも特定電子メールに該当するとされています。これらのメールを送る場合は法で定められた事項を守らなければなりません。

一方取引条件を案内する事務連絡や料金請求の案内、時候の挨拶などで宣伝内容が含まれない場合は特定電子メールにはなりせん。ただしこれらのメール内に広告または宣伝用のWebサイトへの導線が設けられている場合は特定電子メールとみなされるので注意してください。

特定電子メール法 | 迷惑メール対策 | 迷惑メール相談センター

特定電子メール法に違反した場合

特定電子メール法に違反した場合は総務大臣及び消費者庁長官からメール送信方法の改善に必要な措置を命ぜられます。また状況によってはさらに具体的な罰則が課せられることもあるので注意してください。例えば総務大臣及び消費者庁長官からの命令に従わなかったり、送信者情報を偽って送信した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金(法人の場合は3000万円以下の罰金)に処せられます。また後述する「オプトイン方式」を守らなかった場合や「メール送信者の表示義務」に違反していた場合も処罰の対象です。

さらに特定電子メール法に違反した場合、企業名や違反詳細が総務省のホームページに掲載されるので企業イメージの毀損は免れないでしょう。1度広まったネガティブな企業イメージを挽回することは簡単ではありません。このように特定電子メール法に違反した場合、企業の長期的な活動に悪影響を及ぼす処置が課されます。メールマーケティングを行う際は法律違反にならないように細心の注意を払ってください。特にメール下部にテンプレートとして自社商材を紹介する文言やURLを記載している場合は要注意です。

特定商取引法との違い

特定電子メール法と似た法律に「特定商取引法」という法律があります。これらの2つの法律はともに消費者を保護する観点で定められた法律です。しかし少しずつ差異があるので、違いを理解しておく必要があります。まず特定電子メール法は迷惑メール(広告を目的としたメール)の送信を規制する法律なのに対し、特定商取引法は商取引における消費者保護や公正な取引の観点から広告主を規制する法律です。

また特定電子メール法の所管が総務省および消費者庁であるのに対し、特定商取引法の所管は経済産業省および消費者庁となっています。さらに特定商取引法の違反行為に対しては懲役刑や罰金刑などの刑事罰が用意されており、特定電子メール法よりも厳しい規制となっています。メールマーケティングを行う場合は特定商取引についても理解しておく必要があるので、必ず確認するようにしてください。

メルマガの配信時に押さえるべきポイント

ここまで特定電子メール法の概要や規制対象、罰則規定などについて解説しました。これらの特徴を理解したうえで、メルマガ配信時には押さえておくべきポイントがいくつかあります。まずは「オプトイン」と「オプトアウト」について理解してください。またオプトインを取得した場合、これらの情報を適切に管理しなければなりません。

さらに特定電子メール法では特定電子メール内に必ず記載しなければならない事項も定められています。これからご紹介する4つのポイントは特に重要な事項なのでメルマガを配信する際は全て遵守するように注意してください。

<h3>オプトイン方式</h3>

メルマガを配信する際は、「オプトイン方式」について理解する必要があります。オプトインとは特定電子メールを送信する際は、受信者が事前に同意していることが必要であるといった考え方です。つまりメルマガは予め送信に同意していない人には送ってはいけません。オプトインを取得するための方法は大きく分けて2つあります。

まず最も一般的なのが、ホームページや広告を見たユーザーが自らメルマガ購読を申し込む方法です。メルマガに登録すること自体が目的で申し込まれる場合もあれば、会員登録や資料請求などの際にメルマガ受信を希望する旨に同意してもらう場合もあります。もう1つのオプトイン取得方法はWebサイトや会員制サイトの個人情報の取扱規約の中にあらかじめオプトイン取得について記載しておく方法です。個人情報の取扱方法として取得したメールアドレスに特定電子メールを送信する旨が書かれていれば、ユーザーが規約に同意した時点でオプトインを取得できたと言えます。

いずれの方法にしてもユーザーが「特定電子メールが送信されると認識できること」と「送信に同意すること」が重要です。オプトインに関する記載はユーザーにとってわかりやすい場所に記載することが推奨されているので、Webサイトに掲載する際はフォントのサイズや色を変えるなどの工夫をしてみてください。またオプトインを取得した場合はその履歴を残す必要があります。履歴の保存方法や保存期間については後ほど詳しく解説します。

オプトインの例外

オプトインには一部例外もあります。それは次の3種類のケースです。

  • メールアドレスの通知をした場合
  • 取引関係にある場合
  • メールアドレスを公表している場合

これらの例外に該当する場合、オプトインを取得していない場合でも特定電子メールを送ることが可能です。1つ目のメールアドレスを通知した場合とは、例えば名刺やパンフレットなどの書面で送信者にメールアドレスを通知するケースが該当します。予めメールアドレスを通知している場合はメールが届くことが比較的容易に予測できるため、オプトインの例外となることを覚えておきましょう。

2つ目の取引関係にある場合とは社会通念上、広告が掲載されたメールが送信されることを許容している関係にある者同士のメール送信が該当します。例えば金融機関とその顧客のように継続的に商品やサービスを取引している場合、取引関係にあると言えるでしょう。また過去に1度商品、サービスを購入し、以後も購入などの取引が予測される場合も取引関係にあると言える場合もあります。

3つ目のメールアドレスを公表している場合とはお問い合わせ先や連絡先としてWebサイトなどにメールアドレスを公表しているケースが該当します。しかしメールアドレスと合わせて「営業目的のメールを拒否する」旨の表示がある場合、オプトインの例外とはなりません。万が一そのように明示されているアドレスに特定電子メールを送信してしまうと法律違反になるので注意してください。

オプトアウト

オプトインの反対の意味を表すのが「オプトアウト」です。オプトアウトとはそれまでメール送信を承諾していた受信者が特定電子メールの受け取りを拒否することを指します。オプトアウトされた場合、送信者は原則としてメルマガを送ることはできません。メルマガを含めた特定電子メール内にはオプトアウトするための導線設置が義務付けられています。

オプトアウト導線がついていないメルマガは特定電子メール法違反となってしまうので気をつけてください。またオプトアウトを手動で行い配信停止までに時間がかかる場合は、メール配信の作業完了までの期間を明記しておくことをおすすめします。万が一受信者がオプトアウトの依頼をした後、タイムラグでメールを送信してしまった場合、トラブルに発展する可能性があるためです。不要なトラブルを避けるためにも「配信解除までに3営業日程度いただきます」などと明示しておきましょう。

送信元情報などに関する表示義務

特定電子メール内には以下の5つの送信元情報を明示するよう義務付けられています。

  • 送信者の氏名または名称
  • 受信拒否を受け付けるアドレスまたはURL(オプトアウト導線)
  • オプトアウト導線の直前または直後に受信拒否の通知ができる旨
  • 送信者の住所
  • 苦情・問い合わせを受け付ける電話番号、メールアドレス、URL

受信者の同意を得てメールを送る場合もこれらの情報は必ず明記しなければなりません。なお表示義務が設けられているURLはハイパーリンクとして設置することも可能です。これらの情報は全てわかりやすく掲載されている必要があるので、あえてフォントを小さくしたり背景に溶け込ませるようなフォント色にしたりすることは控えましょう。

事前の同意を証明する記録の保存

メール送信の事前の同意、すなわちオプトインはそのことを証明する記録を保存しなければなりません。保存しなければならない情報は大きく分けると次の2種類です

  • メールアドレス・取得時期・取得方法
  • 書面・電子メール・Webサイトを通じて取得した場合、同意取得の際に受信者に提示した定型的な部分

これらの情報は特定電子メールを送信しなくなった日から1か月を経過する日まで保存するものと定められています。ただし特定電子メール法に違反して措置命令を受けた場合は保存期間が別で定められるので注意してください。これらの情報は要件を満たしていればExcelやGoogleスプレッドシートなどでの管理でも問題ありません。

ただし一元管理することが難しい場合、オプトインの記録保存に特化したシステムの導入を検討する必要があります。オプトインの保存手段はメルマガ配信前に準備しておかなないと情報が散逸してしまうので、予め保存方法について準備しておきましょう。

まとめ

この記事では違法なメール営業を行わないために必要な特定電子メール法の知識について解説しました。メルマガ配信を行う際はこの記事でご紹介したポイントに注意して行わなければなりません。メールマーケティングは正しく行えば効率的に成果を上げられる営業手法です。メルマガ配信を検討している方はこの記事の内容を繰り返し参照し、適切な方法でメール営業を行ってください。

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