フォーム営業は、問い合わせフォームを利用したBtoB向けの営業手法です。
この記事では、フォーム営業のメリットやデメリット、導入の手順やコツを紹介していきます。
フォーム営業とは
「フォーム営業」とは、企業のホームページ上に設置された「問い合わせフォーム」を利用したBtoB向けの営業方法です。
「問い合わせフォーム営業」と呼称されることもあり、対象企業を定め、その企業のホームページ上の問い合わせフォームから、セールスレターを送ることを指します。
企業の問い合わせフォームの主な種類は、以下の4つです。
- サービスの利用者向け
- 個人向け
- 注文問い合わせ向け
- 総合
フォーム営業で利用するのは、総合のフォームです。
企業は、総合窓口にメッセージが送られてくると、内容を確認した後に担当者や担当部署などに振り分けて対応します。
問い合わせフォームから送ると「営業」ではなく「問い合わせ」として認知されるため、企業側が確認する可能性が高いです。
フォーム営業では、自社の商品やサービスを購買する可能性のある企業を探し、その企業のニーズをホームページ上から探り、企業が求めているものを予測した上でセールスレターを作成します。
企業側のニーズと一致していれば、興味を持ってもらえるので、返信が来る確率が高まります。
メール営業との違い
メール営業とフォーム営業の大きな違いは、顧客との関係です。
フォーム営業と同じように、セールスレターを送る営業手法に「メール営業」があります。
メール営業とは、メールアドレスをすでに持っている見込み客に対して、メールを送って営業する方法です。
メルマガとして新商品の情報を知らせたり、お役立ち情報を送って興味をもってもらったりする手段として使われます。
メールを受け取った側は、「知っている企業から送られてきた」という認識を持ちます。
一方、フォーム営業は、連絡先を持っていない企業にホームページから問い合わせし営業する手法です。
そのため、メッセージを受け取った側は「知らない企業から送られてきた」という認識を持ちます。
フォーム営業に向いている企業・向いていない企業
フォーム営業は、向いている企業と向いていない企業があります。
フォーム営業に適している企業の特徴は以下の通りです。
- 商品やサービスの認知度を上げたい
- 新しい会社でリストがない
- アプローチ手法を増やしたい
- 商品やサービスの需要が高い
商品やサービスの需要が高く、とにかく知ってもらうことで顧客が獲得できそうな場合は、フォーム営業に適しています。
すでにテレアポや訪問営業を行っており、新しいアプローチとして取り入れたいという場合もおすすめです。
フォーム営業に適していない企業の特徴は以下の通りです。
- 商品やサービスがニッチで需要が少ない
- 長期的な付き合いが必要な商品やサービス
- コンプライアンスを重要視する
フォーム営業は手間がかかるため、商品やサービスがニッチで需要が少ない場合、効率的な方法ではありません。
長期的な信頼関係が必要な商品やサービスの営業にも向いていないのも特徴と言えます。
また、フォーム営業に対して悪い印象を持つ企業もあるので、コンプライアンスを重視する企業は避けておくのが無難です。
フォーム営業のメリット
フォーム営業には3つのメリットがあります。
- 開封率・閲覧率が高い
- 質の高いアポが取れる可能性がある
- 連絡先の知らない担当者・企業へアプローチが可能
開封率・閲覧率が高い
フォーム営業で送ったセールスレターは、開封率・閲覧率が高い傾向にあることが大きなメリットです。
通常問い合わせフォームは、企業に対して問い合わせたい事柄がある場合に利用するツールとなっているため、問い合わせホームに送られてきたメッセージは、営業だと捉えられないことがあります。
そのため、しっかりと内容を確認する企業が多く、開封率や閲覧率が高い傾向にあります。
内容を確認してくれるので、必要としている商品やサービスであれば、興味を持ってもらえる可能性も高くなります。
一方メール営業などでのダイレクトメールは、読む前からセールスレターだと認識されます。
企業側は忙しいため、営業メールを読むひまがないことも多く、営業メールであると認識されていれば、細部まで読まれることは少ないです。
問い合わせフォームからセールスレターを送れば、開封率や閲覧率が高く、効果的と言えます。
質の高いアポが取れる可能性がある
フォーム営業では、企業側から返信が来ることがあり、質の高いアポが取れることがあります。
企業から返信が来た場合は、商品やサービスに興味を持っている可能性が高いです。
質の高い見込み客だとわかったら、商談や成約まで取り付けるようなアプローチが可能になります。
さらに、問い合わせフォームから送ったセールスレターは、決済者に直接確認してもらえる場合もあります。
中小企業やベンチャー企業など、従業員が少ない企業であれば、決済者が確認する確率がさらに高いです。
決済者にセールスレターを読んでもらい、興味を持ってもらえれば商談につながることも期待できるため、フォーム営業はテレアポやメール営業などに比べ、質の高いアポが取れる可能性が高いです。
連絡先の知らない担当者・企業へアプローチが可能
フォーム営業のメリットとして、連絡先の知らない担当者・企業へアプローチができることが挙げられます。
企業のホームページをネットから探してアプローチをするため、メールアドレスなどの連絡先を獲得する必要がありません。
自社の商品やサービスに興味がありそうな企業のホームページを探せば、営業ができます。
メール営業であれば、相手メールアドレスを獲得しなければ営業を行うことはできず、そもそも営業以前に見込み客のメールアドレスの獲得に手間や時間がかかってしまいます。
フォーム営業では、ニーズがある企業をしっかりと探し出すことさえできれば、連絡先を知らない担当者へ営業することもできます。
さらに、通常では連絡先の獲得ができない決済者に直接アプローチできる可能性もあります。
ホームページさえ探し出せば、アプローチ先は相当数あるため、有効な営業方法なのです。
フォーム営業のデメリット
フォーム営業のデメリットは、以下の2つがあります。
- 送信作業が手間
- クレームにつながる可能性がある
送信作業が手間
フォーム営業では、送信作業に手間がかかってしまうというデメリットがあります。
ホームページにアクセスし、お問合せフォームを探してメッセージを打つ、という手順を行わなければなりません。
メール営業のように、メールリストなどを作成して一斉送信を行うことはできません。
一斉送信ができないと、一つひとつ手動で送信していく必要があり、送信作業が手間だというデメリットもあります。
メッセージ内容はコピーアンドペーストができますが、宛名などは手入力しなければならず、メルマガの文面のように、宛名などを自動変換してくれる機能がないため、さらに手間がかかってしまうため、送信作業が手間になってしまうのは大きなデメリットといえます。
クレームにつながる可能性がある
フォーム営業のデメリットとして、クレームにつながる可能性が高いということが挙げられます。
通常、問い合わせフォームは本来、営業活動をするためのものではなく、問い合わせのために使われるもので営業を受けることを目的に設置していません。
そのため、フォーム営業をすると悪い印象を持たれてしまい、クレームを受ける可能性もあるのです。
問い合わせフォームに「営業お断り」と注意書きをしている企業もあります。
相手企業が求めていないのに営業をかけるのは、双方にとってデメリットしかありません。
クレームを受けないためにも、問い合わせフォームに営業禁止の注意書きがないかを必ず確認しましょう。
フォーム営業の手順
フォーム営業を行う際には、メリットやデメリットをしっかり把握してから行う必要があります。
その上で、フォーム営業をやると決めたら、以下の3つの手順を確認しましょう。
- ターゲットリストの作成
- 文章の作成
- フォームから送信
ターゲットリストの作成
まずは、営業をかけるターゲットのリストを作成しましょう。
ターゲットを絞る条件は、以下の3つです。
- 商品やサービスの需要がありそうか
- 問い合わせフォームを設けているか
- 営業禁止の注意書きがないか
フォーム営業では、一斉送信ができないので、1件ずつホームページにアクセスし、問い合わせをします。
手間がかかってしまうので、事前にしっかりとターゲットの企業を絞り、リストを作成する必要があるのです。
特に、問い合わせフォームに「営業禁止」の記載がないかはしっかりと確認し、クレームなどのトラブルを未然に防ぐ必要があります。
フォーム営業が有効なターゲットを事前にリスト化しておくことで、ストレスなく効率的に送信作業を行いましょう。
文章の作成
ターゲットリストが完成すると、問い合わせフォームから送るためのセールスレターの文章を作成する必要があります。
セールスレターは全て同じものを送らず、商品やサービス、対象の企業に合わせた形式で作成すると効果的です。
大まかなフォーマットを作っておいて、対象企業に合わせてカスタマイズできるようにしておきましょう。
フォーム営業が成功するかどうかは、文章の質にかかっています。
商品やサービスに興味を持ってもらうためには、質の高いセールスライティングの文章を作成する必要があります。
文章を書く際、必ず組み込む必要があるのは以下の要素です。
- 自分の情報
- 連絡の目的
- 商品やサービスの情報
- 利用するメリット
- 利用しないデメリット
- 購買のためのアクション
セールスライティングの知識を持った人材に文章作成を担当させ、クオリティの高い文章を作成しましょう。
フォームから送信
リストを作成して送信する文章が完成すれば、フォームから送信する作業を行います。
フォームから送信するときには、以下のことに気をつけましょう。
- 平日の営業時間帯であるか
- 情報が適切に記載されているか
- 宛先に誤りはないか
土日や平日の営業時間帯の後に送ってしまえば、開封される確率が低下することが予想されます。
開封される確率が高い平日の時間帯に送りましょう。
さらに、情報が適切に記載されているかを必ず確認しましょう。
フォーマットを利用する際は、宛名など、企業によって内容を変える欄の入力漏れがあることが多いため気をつけましょう。
宛名を正しく入力していなければ、適当な会社だと捉えられてしまい、返信される確率は一気に下がるため、入力漏れがないかをしっかり確認することが大切です。
フォーム営業を成功させるコツ
フォーム営業を行う際には3つのコツがあります。
- 件名を工夫する
- アポや返信など次のアクションを記載する
- 顧客にとっての具体的なメリット伝える
しっかりと把握し、フォーム営業の成功につなげましょう。
件名を工夫する
成功させるコツの一つは件名を工夫することです。
メール営業でも同じように、件名に魅力がなければ開封すらされません。
「サービス〇〇を利用しませんか?」
「〇〇の商品のご案内」
このような件名であれば、営業のメッセージだとわかり、読まれる確率が一気に下がります。
開封されるような件名には、以下のような条件があります。
- 営業だとわからないような言葉
- 興味を引くような言葉
- 魅力が伝わる言葉
せっかくフォーム営業を行っても、開封してもらえなければ効果が見込めません。
開封してもらうためには、魅力的な件名を作成することが必要です。
魅力的な件名で興味を惹き、開封してもらうことができれば、セールスレターを読んでもらえる可能性も高まります。
アポや返信など次のアクションを記載する
フォーム営業の文章には、必ず次のアクションについての記載をしましょう。
文末に、アクションを起こさせるための以下の文面を入れることをおすすめします。
- アポイントの日程候補
- 問い合わせ先の記入
- 購買ページのURL
商品の魅力をいくら伝えても、顧客に次のアクションを示さないと、行動に移す可能性が低くなります。
具体的な購買方法や、次につながるアクションを記載して顧客を導きましょう。
顧客にとっての具体的なメリット伝える
セールスライティングの文章構成では、顧客にとってのメリットを伝えることが大切です。
商品の魅力を羅列して、良い商品だと伝えても、企業が購買するメリットが分からなければ意味がありません。
メリットを伝えると企業側は、購買後のイメージを具体的にわかせるので、行動に繋がりやすいです。
さらに、購入しない場合のデメリットを書くことも重要です。
「購入しないとこの状態は変わらない」、「購入しないと損をする」、とようにデメリットを書くことで、企業側は購入しない場合をイメージします。
メリット、デメリットを書いてイメージをわかせることで、購買につながる可能性を高めましょう。
フォーム営業でのトラブル回避方法
問い合わせフォームとは、通常は営業活動に使われる目的で作成されていないため、トラブルに繋がる可能性があります。
しかし、フォーム営業で、商品やサービスを購買してもらい、企業の役に立てることもあります。
お互いプラスになる関係性を築くために、次のトラブル回避方法を試してみてください。
フォーム営業を行っても問題ないか確認する
フォーム営業を嫌っている企業は一定数あるため、営業を行っても問題ないか確認しましょう。
企業は、様々な方法でフォーム営業の禁止を示している場合があります。
- サイトポリシーへの記載
- 問い合わせフォームでの禁止の記載
- 問い合わせフォームより営業した場合の支払い要請
このような記載を見逃してしまいフォーム営業を行ってしまうと、大きなトラブルに繋がりかねません。
問い合わせフォームより営業してしまった場合には、支払いを請求してくる企業もあります。
フォーム営業を嫌っている企業に対して無理やり営業しても、双方にメリットがないため、フォーム営業を行っても問題ないかどうかを必ず確認しましょう。
クレーム対応マニュアルを作成する
クレームを受ける可能性は否定できないため、事前にマニュアルを作成しましょう。
クレームを避けるためにはホームページ上の「営業禁止」の文言を見逃さないことが重要です。
しかし、「営業禁止」などの文言がなくてもクレームを受けることもあります。
万が一クレームが入った際には、どのように対応するのか事前に決めておくことで、スムーズな対応が可能です。
クレームを受けた時のために、以下のものを準備しましょう。
- 謝罪メールの文面を作成
- 謝罪電話の担当者の決定
- 謝罪電話のマニュアルの作成
フォーム営業はクレームを受けやすい営業手法なので、クレームが来る前提で行うことが大切です。
クレームが入ればきちんと謝罪し、その企業には二度と営業をしないようにリストに記入します。
事前にクレーム対応を行うことで、クレームが来た時でも冷静に対応可能です。
反応がない企業に何度も送らない
フォーム営業を一度行なって、反応がなかったからといってもう一度送るのはやめましょう。
企業は、顧客分析のためにホームページのアクセス解析を行なっています。
フォーム営業をするために何度もアクセスすると、アクセス解析データをかき回すことになるのです。
そのような事情から、フォーム営業に対して悪いイメージを持っており、営業メッセージが届いても対応しない企業もあります。
「営業禁止」と書いてないからといって、何度も送ってしまうとクレームにつながる可能性が高まります。
フォーム営業は送信作業に手間がかかるので、自社にとっても無駄なアクションは減らしましょう。
リストに反応がなかったことを記載するなど、情報の管理をしっかり行いましょう。
適切にフォーム営業を行い、成約率アップを
この記事では、フォーム営業のメリットやデメリット、営業の手順やコツについて紹介しました。
フォーム営業は、有効的な手段ではありますが、トラブルにつながる可能性がある営業手法でもあります。
しかし、対象企業をしっかりと選別し、トラブルを防ぎながら行えば、効果がしっかり見込めるのも事実です。
この記事で紹介したコツを取り入れ、フォーム営業でのアプローチを成功させましょう。