リード獲得は、新規顧客を獲得するために有効なアクションです。販売商材にもよりますが、毎月新規顧客が増えないと企業の売上は解約などにより減少します。
今回は、リード獲得の定義や、効果的なリード獲得の手法などについて詳しく解説します。
リード獲得とは
「リード獲得」とは、英語で「lead※手がかり/きっかけ)の獲得」を指し、見込みになり得る顧客を見つけ出す行動のことを意味します。リードジェネレーションと呼ばれることもあります。
リード獲得の目的は、WEB広告や展示会などで自社商材をPRし、新規顧客に興味をもってもらい商談のきっかけを見つけ出していくことです。
通常、リード獲得では顧客の個人情報(企業情報)を入手することが必須で、入手後リードナーチャリング(顧客育成)に移る流れとなります。
ただ、リード獲得で重要なのは「顧客ごとの関心度の高さ」です。
リードは、成約見込みの低い順から以下3つのパターンに分かれます。
- 成約見込み無し…アノニマスリード(個人が特定できない単なるアクセス情報など)
- 成約見込み低…コールドリード(自社商品にアクセスがあったものの、2回目以降の接触ができないなど興味がない顧客)
- 成約見込み高…ホットリード(個人情報があり初回アクセスから何度も接触し、新規成約見込みの確度が高い顧客)
リード獲得の目的
リード獲得の目的は、新規顧客の関心を集め成約に結びつけることです。
企業でリード獲得を任された担当者には、リードの「質」と「数」が求められます。
リード獲得からの成約率は自社実績から割り出せますので、販売目標から逆算し、成約に必要なリードを獲得するための施策が必要になります。
リード獲得の方法は業態や商材によっても異なり、WEB媒体を使ってリードを獲得する方法もあれば、展示会などの対面方式で商談機会を得る方法もあるでしょう。
ちなみに、リード獲得から成約までは以下のようなステップを踏むことになります。
STEP①…認知活動
STEP②…リードジェネレーション(リード獲得)
STEP③…リードナーチャリング(顧客育成)
STEP④…リードオフケーション(リード選別)
STEP⑤…成約(WEB成約または営業担当者へのパス出し)
オフラインリード獲得方法
リード獲得には「オフライン」と「オンライン」の2つの方法があります。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
- オフラインによるリード獲得…原則対面接触で獲得する方法。実際の商品を見せたほうが効果的な場合に使われる手法
- オンラインによるリード獲得…非対面で獲得する方法。WEB案内が可能な商材、かつ多くのリードを獲得したいときに使われる手法
まずは、オフラインでのリード獲得方法から詳しくご紹介します。
セミナー/展示会
商品を実演したい場合や、参加者と直接コミュニケーションをとりながらリードを獲得したい場合は、展示会やセミナーがオススメです。
たとえば、最新のVR技術や音声技術などを開発している企業の場合は、WEBだけでは実際に良さが伝わらないため、展示会で実演する方法がいいでしょう。
展示会は、一般的に業種や業態を分けて実施されます。そのため、隣の競合他社のブースをリサーチできるなどのメリットもあります。他社商材やユーザーの反応を目にすることで、自社商材の改善やPRの仕方で参考になる情報を入手できるかもしれません。
ただし、展示会の来場者は「情報収集」がメインであることも多く、新規リードが獲得できてもすぐに成約には結びつかない点がデメリットです。
名刺交換をしたあとは、継続して自社商材に関する有益な情報を伝えつづけ、関心を持ってもらうことが必要になります。
ダイレクトメール(DM)
ダイレクトメール(DM)でターゲットになり得る顧客に案内を郵送し、レスポンスを待つ方法もあります。
アナログ的なリード獲得の方法ですが、インターネットにアクセスしないような高齢者層や、実際にサンプルを同封したい場合に最適な手法です。
ただし、ダイレクトメールを送るためには、対象となる顧客リストが必要となる点に注意が必要です。リスト入手の方法としては、おもに以下の3種類があります。
- 名簿業者から購入する
- ダイレクトメール発送業者に委託する
- 自社の顧客リストを活用する
最近では、個人情報取得に関するルールも厳しくなり、無差別にダイレクトメールを発送しても逆にネガティブな印象を持たれるケースがあります。また、ユーザーには毎日なんらかのダイレクトメールが届いていることも想定されますので、開封してもらうための工夫も必要です。
当然郵送費用もかかりますので、費用対効果を考えると効率的な手法とはいえません。
テレマーケティング
テレマーケティングとは、これまで接触したことのないユーザーに対し電話をかけ、商品案内の機会をもらうリード獲得の手法です。
テレマーケティングは略して「テレマ」とも呼ばれ、架電リストをもとに順番に電話をしていきます。ただし、突然の電話で営業をされても、拒否されるケースがほとんどです。
したがって、効率的なテレマーケティングをおこなうには「事前にDMを発送する」「メールを送る」といったように、電話をするまでのアクションも必要となります。
以上のことから、テレマーケティングは新規リード顧客には非効率な方法で、どちらかというとリードナーチャリングに向いている手法ともいえるでしょう。
どうしてもテレマーケティングを試してみたい場合は、出来高制で業務委託として請け負ってくれる業者に依頼する方法がオススメです。
新聞・雑誌
新聞や雑誌に広告を載せ、問い合わせを待つ方法もあります。
ただし広告は出稿費用も高く、新聞で目を引く広告を掲載しようとすると100万円を超える広告費がかかるケースもあります。
※参考「日本経済新聞、日経産業新聞、日経MJ、日経ヴェリタス、広告料金表※PDF」
費用面を考えると、新聞や雑誌広告は、リード獲得のためというよりは認知拡大のための手法と言えるかもしれません。
なお、新聞などの紙媒体に広告を載せる場合は、記事下広告枠などを利用するよりも「記事広告」で自社商材をPRするほうが効果的です。WEB広告と同じく、自社商材を訴求したいターゲット層が手に取る紙媒体を選定して広告を出せるため、ヒットすれば費用対効果が高いリード獲得手法ともいえます。
交通広告
交通広告には、大きく分けて以下の3種類があります。
- 駅構内のデジタルサイネージや電車の車内広告…人の目に触れる時間が長い
- 電車やバスのラッピング広告…インパクトが残りやすい
- タクシーの後部座席にある動画広告…乗車時間中にPRできるため効果も高い
上記のように交通広告の手法や費用もさまざまですが、路線や乗車顧客の層に応じた商品訴求ができる点は交通広告のメリットのひとつです。
たとえば、沿線に大学が乱立していて学生が多数乗降する路線なら、ファッションやゲームなどの広告出稿は有効かもしれません。
交通広告は人の目に触れる機会が多い一方で「一瞬でインパクトを残し後日のアクセスを期待する」ことが求められます。そのため、人を惹きつけるコピーやアクセスしやすいQRコードを広告に配置するなど、それなりの工夫も必要になります。
また、交通広告は継続しないと効果がでない場合もあり、広告宣伝費に余裕がないと出稿が難しいのも現実です。
オンラインリード獲得方法
つぎにオンラインでリードを獲得する方法についても、ご紹介していきます。
WEB広告などオンラインでリードを獲得する手法は、以下のようなケースに向いています。
- 展示会出展や紙媒体の広告出稿予算がない
- できるだけ多くのリード数を集めたい
- すでに自社商材PR可能な対象リストを保有している
- WEBで紹介/誘導できる商材を扱っている
- 非対面で顧客育成できる体制が整っている
web広告
WEB広告の方法としては、おもに以下2つの手法があります。
方法①…バナー広告
「対象ユーザーがアクセスしそうなWEBサイトにバナー広告を出稿する」
方法②…リスティング広告
「検索キーワードにもとづく広告※Googleで検索すると上位に出てくる広告枠のこと)
方法③…リターゲティング広告
「検索キーワードでアクセスしたWEBサイトに、キーワードと関連する商材の広告を出す手法」
WEB広告では、自社のバナー広告からLP(ランディングページ)にアクセスしてもらいリードを獲得していきます。クリック保証型の広告もあり、費用対効果が高い点も特徴のひとつです。
ただし、Googleのcookie規制により、ターゲットとしたいユーザーに広告を届けることが難しくなっているのも現状です。WEBを使ったリード獲得でいえば、このあとご紹介するオウンドメディアの活用のほうが「費用対効果が高い」と評価される場合もあります。
オウンドメディア・コンテンツマーケティング
オウンドメディアとは、自社商材を直接的に販売するサイトではなく、自社に関連した有益な情報をユーザーに届けるサイトのことを指します。
オウンドメディアをつくる目的は、読者を惹きつけてアクセス数を増やし、最終的には自社商材に関する問い合わせを集めることにあります。
たとえば、人事関連のHRシステムを販売している会社の場合は、人材教育や採用に関する最新情報を届けるオウンドメディアは効果的です。
ただ、オウンドメディアでリード獲得をし続けるためには、常に最新の情報をアップしていく「情報収集力」と「継続して記事が書ける体制」が必要になります。オウンドメディアを運営している会社では、自社スタッフで記事を書く一方で、外部ライターに執筆を依頼する方法が一般的です。
また、オウンドメディアでリード獲得に成功するには、以下のポイントを軸にサイト設計をすることが必要になります。
①ターゲットやペルソナ設定を明確にしておく
②リード獲得の数値目標を定めておくこと(ゴールの設定)
③カスタマージャーニーを描いておくこと
④コンテンツ設計と専任チームの配置
ウェビナー
ウェビナーによるリード獲得とは、オンラインツールを活用して非対面でセミナーを開催し、最終的にユーザーからの問い合わせを集める手法です。
ウェビナーのメリットとしては、おもに以下の4点があります。
- 展示会に出展する場合と違い、場所や時間を気にせずに開催できる
- 広告出稿と比較すると費用が安く済む
- 非対面で案内ができるため安心して参加してもらえる
- 当日参加できなかったユーザーにも動画配信ができるため、費用対効果も高い
ただしウェビナーに参加してもらうには、著名人の登壇や興味をひく最新の情報を届けるなどの工夫も必要です。著名人の登壇にはそれなりの出費も必要ですので、予算を見ながら検討することになるでしょう。
たとえば、人材紹介会社が実施するウェビナーを例に考えてみると、ターゲットは「転職を考えているユーザー」となります。できるだけ参加者数を集めたいなら「年収1,000万円を目指す最新の転職事情とは?」などといった興味を引くセミナーが有効かもしれません。
なお、ウェビナーに参加するユーザーは、かならずしも自社商材に関心がある人とは限りません。後日のリードナーチャリングが重要なポイントになりますので、メールアドレスや個人名などの情報取得は必須です。
SNS
SNSとは、FacebookやTwitter、Instagramのことを指し、SNSを活用したリード獲得には以下のような方法があります。
手法②…自社でTwitterを運用しユーザーに有益な情報を発信し続ける方法
商材にもよりますが、ユーザーが情報を検索する方法として、GoogleやYahooなどの検索サイトよりも、InstagramなどのSNSが使われるケースが増えています。
そのため、キーワードや読者層を指定して広告出稿できるFacebook広告やTwitter広告は、費用対効果も高く、多くのリード獲得を集めたいときには有効な手段です。
一方、自社でTwitterのアカウントを開設し毎日有益な情報やバズるツイートを続けることで、自社サイトに誘導する方法もあります。自社でSNSを運用する場合、経験がないと難しく根気も必要になるため、専門のコンサル会社に依頼するほうが効率的でしょう。
メディア掲載
メディア掲載によるリード獲得は、おもに「記事広告」と呼ばれる手法のことです。
新聞やWEBメディアに記事形式で広告を出稿するため、通常のバナー広告と比較するとポジティブな印象をもってもらえるメリットがあります。
ただし、メディア掲載によるリード獲得には以下のようなデメリットもあります。
デメリット①…掲載先サイトの読者が限定的になるため複数のメディア出稿が必要になる
「メディア掲載によるリード獲得をする場合、ひとつのサイトに1記事だけ掲載しても効果が出ないケースもある。複数のサイトに同時期出稿する方法が効果的なため、費用が高くつく」
デメリット②…会員サイトの場合は会員情報が古いままのケースもある
「掲載先サイトの読者会員の情報精度が古い場合もあり、問い合わせ情報からコンタクトをとっても連絡がつかなかいケースが発生する」
上記のほかにも「クリック保証型」のように成果報酬ではない一面もあるため、リード獲得1本でいくよりも認知拡大の意味も含めて検討したほうがいいかもしれません。
メルマガ
メルマガは、特定の情報を欲しているユーザーに定期的なメール配信を続け、直接問い合わせを受けたり自社サイトに誘導するリード獲得の方法です。
ただ、定期的にメールを送るといっても、自社商材のアピールを毎週のように続けても逆効果です。メルマガには、前述したオウンドメディアのような内容があると効果的かもしれません。
たとえば、ダイエット食品を販売したい場合は、ダイエットに効く体操やヨガの情報を定期的に届けたり、オススメのダイエットレシピを提供するとユーザーにも関心をもってもらえます。
オウンドメディアでもメルマガでも同じですが、リード獲得に結びつけるには「徹底したユーザー目線」が大切です。
ターゲットにしている読者層はどんな情報を欲しているのか?競合他社が提供していない情報ななんなのかなど、届ける情報を吟味してメールを送るようにしましょう。
リード獲得を最大化させるポイント
リード獲得を目指し、さまざまな施策を検討する際には、いくつかの事前準備が必要になります。やみくもに広告を出稿しても費用対効果は得られませんし、場合によっては自社のブランディング価値を下げることにもなりかねません。
リード獲得を最大化させるには、以下の点を軸に事前準備をするよう心がけましょう。
・KPIを設定する
・ターゲットに合わせた施策を実施する
・獲得したリードへの次回アクションを設定する
KPIを設定する
リード獲得のための施策検討段階では、まずKGIとKPIの設定がポイントになります。
・KPI(Key Performance Indicator)…リード獲得してからの各プロセスでの目標指数
具体的には、以下のような順序でKPIを設定するとわかりやすいでしょう。
STEP①…KGIを決める
今期の売上目標をどこに置くのかを決める。「売上改善」など曖昧な目標ではなく「売上目標予算比110%」など数値目標を掲げることがポイント
STEP②…KPIを決める
リード数からの商談化率、商談からの受注率などのKPIを想定する。最終的な受注目標数が決まったら逆算し、必要なリード獲得数の目標を定める。その後、リード獲得目標に応じた施策を決める
ちなみに、KPIは四半期ごとに見直すことも必要です。一度決めた目標でも、顧客や市場を取り巻く環境は日々変化します。
時代遅れの目標や施策にならないよう、必要に応じ修正していくようにしましょう。
ターゲットに合わせた施策
KPIが決まったら、具体的なリード獲得の施策を決めるためのターゲット選定をする必要があります。
具体的には想定するユーザー層を以下のターゲットに分け、それぞれに応じた施策を検討することが大切です。
リード獲得で検討すべきターゲット層の例
- 性別
- 年齢
- 職業
- 興味
- 行動パターン
たとえば、資格取得の講座を販売するためのリード獲得で考えてみます。
まず、資格の種類によってターゲットは男性女性に分かれます。具体的には「医療事務」の資格であれば、40歳くらいまでの女性がターゲットになるかもしれません。
性別や年齢のターゲットが決まったら、ターゲット層の行動に応じた施策を検討していきます。20代~40代までで会社勤めをしている女性がターゲットなら、電車内のマスメディア広告を検討してみたり、朝や夕方などの通勤時間帯にWEB広告を出したりするような仕組みも効果的です。
行動パターンやターゲット層に応じたコンテンツを変えるなど、一辺倒にならない工夫も必要になってきます。
獲得したリードへの次回アクションの設定
実際にリード獲得の施策を実行し、ユーザー情報を取得したあとは、成約に向けての顧客育成が必要です。
成約までの顧客育成には、以下2つのステップがあります。
STEP①リードナーチャリング
STEP②リードクオリフィケーション
リードナーチャリングとは、顧客育成を指す言葉です。自社商品に興味をもってくれたユーザーに対しメールやオンラインツールで接触を続け、顧客の購買意欲を高めていく行動を意味します。
具体的には、カスタマーサクセスを担当するスタッフがメルマガを発行したり、興味を持つユーザーにチャットなどでサポートしたりして、問題解決にあたるケースもあります。
一方、リードクオリフィケーションは顧客を優先順位別で分けていく行動のことです。たとえば、さきほどのメルマガを発行したケースで考えてみましょう。
メルマガを開封した顧客には点数を高く付け、メルマガで案内したウェビナーへの参加顧客にはさらに高い点数を付けていきます。最終的には、コールドリードとホットリードを差別化していき、点数の高い「成約見込みの高い案件」だけを営業部門にパス出しする流れが理想です。
まとめ
最近では社会情勢の変化もあり、リード獲得の手法としてはWEB広告やオウンドメディアなど非対面ツールを好む傾向があります。
しかし、商材によっては商品を実演したり実際に手に取って試してもらうなど、対面によるPRのほうが効果的な場合もあります。
リード獲得の手法を検討する際には、ターゲット層の設定を明確にし、予算の範囲内で自社商材にあった施策を実施するようにしましょう。