フィールドセールスとは?フィールドセールスの役割やインサイドセールスとの違いを徹底解説

  • 2022年6月30日

フィールドセールスとは – 役割やインサイドセールスとの違いを解説

最近非対面営業をメインとするインサイドセールスに注目が集まっています。しかし実際の営業現場では、対面営業で成果を出すフィールドセールスも重要な役割を担います。とくに売り上げ単価の高い商材やSaaS商材を扱う業界ではフィールドセールスの配置は不可欠です。今回はフィールドセールスの役割やインサイドセールスとの効果的な連携について詳しく解説します。

フィールドセールスとは

フィールドセールスの定義はその名のとおり”フィールドに出てセールスすること”、つまり「対面営業」です。”対面営業”といってもさまざまな営業スタイルがあり、飛び込み営業もあれば見込み顧客のクロージングだけを担当することもあります。昨今の社会情勢の変化により対面を望まない顧客が増え、2020年以降のフィールドセールスのスタイルは変わりつつあります。いきなり顧客を訪問したりフィールドセールスの担当者がアポ取りをして訪問するスタイルは通用しなくなったのが現実です。またフィールドセールスで結果を出すにはインサイドセールスとの連携が不可欠です。

<マーケティングから成約までのプロセス※フィールドセールスの役割>

役割と担当部署成約までのプロセス
STEP①プロモーション/マーケティングやインサイドセールス見込み顧客創出のためのプロモーション活動(WEB展開など)
STEP②リードナーチャリング/インサイドセールスリード顧客のフォローを通じた顧客育成
STEP③対面セールス/フィールドセールス対面営業を希望する見込み顧客への訪問
STEP④クロージング/フィールドセールス成約

インサイドセールスとの連携についてはのちほど詳しく触れますが、企業によってはフィールドセールスの役割が違う場合もあります。インサイドセールスが説明し仮契約をしたうえでフィールドセールスが契約書だけを締結するケースや、検討初期段階で連携するパターンなどさまざまです。アフターフォローが必要な商材を扱う企業ではフィールドセールスの担当者が販売後のサポートまでおこなうケースもあります。

フィールドセールスとインサイドセールスの違い

フィールドセールスとインサイドセールスとの違いについてもう少し詳しく見ていきましょう。それぞれの職務や求められるKPIを表にしていますので下記をご覧ください。

<フィールドセールスとインサイドセールス比較表>

インサイドセールスフィールドセールス
営業方法非対面(WEBやメール)対面(一部非対面)
業務内容アプローチ、プレゼン、問い合わせ対応プレゼン、クロージング、アフターフォロー
KPI対応件数、1件あたりの対応時間、商談化率成約件数、成約率、売上単価、顧客継続率
人件費などの経費移動が不要なため比較的少額で済む交通費や車両費が必要。1日あたりの訪問件数に限界があるため、配置人数によっては人件費が高い

フィールドセールスは対面方式ではないと理解を得にくい商材販売に適しています。たとえば以下のような業界ではフィールドセールスが活用されています。

<フィールドセールスに適した商材や業界>

  • SaaS系サービス企業…現場打ち合わせが必要なサブスクリプションサービスなど
  • BtoB営業…不動産、建設、システムコンサルタント
  • 人材紹介や派遣業…派遣会社、転職エージェントなど

インサイドセールスとの連携が重要

ここまでも何度かお伝えしているとおり現場を取り巻く環境はフィールドセールス単体では成果が出しづらい状況になっています。そのためフィールドセールスだけで動くのではなく、インサイドセールスと上手に連携する必要があります。どちらかというとフィールドセールスよりもインサイドセールスのスキルを高めたほうが効果的です。

社内に営業力の高い人材がいる場合、どうしてもフィールドセールス部門に配置しがちです。しかし実際はクロージング力の高いスタッフをインサイドセールスに配置したほうが、成約確度の高いパスが出せる確率は高くなります。インサイドセールスとフィールドセールス両方の人材を配置するとなると当然人件費はアップします。既成概念のまま人員を配置するのではなく売上や利益効果を最大化するために、どのような人員配置が適正なのか熟慮することもフィールドセールス成功の近道といえるでしょう。

フィールドセールスのメリット

さきほど「インサイドセールスでも成約までおこなうケースがある」と述べましたが、フィールドセールスだけにしかできない営業方法も多く存在します。また対面営業ならではのメリットもあります。

フィールドセールスの大きなメリットは以下の2つです。

  • 受注確度の高い営業ができる
  • 臨機応変な対応が可能

受注確度の高い営業ができる

インサイドセールスが成約まで持ち込もうとすると非対面営業ということもあり、顧客に判断を委ねてしまうケースが発生します。そのため見込みができても検討で終わってしまう顧客も多く、結果として顧客と音信不通になったり成約件数が思うように伸びないこともあるでしょう。その点フィールドセールスで対面クロージングまでおこなえば、インサイドセールスよりも高い成約率を出すことも可能です。受注確度の高い営業ができれば企業にとっても以下のようなメリットがあります。

  • フィールドセールスの人件費をかけても、それ以上の売上利益効果が出せる
  • 高いノルマがあるのに成約できないなど、営業にありがちなストレスが軽減される
  • 売上アップとストレス軽減により人材の定着化がはかれる

フィールドセールスで成果を出すにはインサイドセールスの部署で「潜在顧客をグルーピング」しておくことも重要です。たとえば「成約確度=ABC」「売上額見込み=高中低」のように、難易度に合わせ情報連携をするとより成約率の高い営業ができます。

臨機応変な対応が可能

インサイドセールスでは顧客の顔やオフィスの様子など先方の状況が見えないことも多いでしょう。一方フィールドセールスは実際に訪問して営業するため、相手の情報を得ながら臨機応変に対応できる点がメリットのひとつといえます。たとえばフィールドセールスなら以下のような情報を得ながら営業することも可能です。

<フィールドセールスで得られる情報>

  • 相手の表情や仕草…相手に響くセールストークなどがわかる
  • 先方の社風…社風や決裁権限者が見えてくる
  • 商材を試したときの反応…実際のサービスを試してもらったときの反応や、要望にもすぐに対応できる

フィールドセールスでは相手の情報を得やすいというメリットばかりではなく、自社営業スタッフの表情や熱意を伝えやすいといったメリットもあります。クロージングの最後では営業員の熱意が大きく成果に出ます。とくに決裁権限者の心を大きく動かす必要がある高額商材の場合は、対面でもクロージングが効果的です。

インサイドセールスとの連携が重要

さきほどからお伝えしている”インサイドセールスとの連携”についても詳しく見ていきましょう。いくらインサイドセールスが効果的な営業手法とはいえ、インサイドセールスに任せてばかりいては営業目標の達成は難しいでしょう。管理者がインサイドセールスとフィールドセールスの両方をマネジメントしお互いの欠点を補てんし合う組織が理想です。

リード層の取りこぼしを削減

インサイドセールスではWEBサイトや既存の顧客リストをもとにリードナーチャリング(顧客育成)をしていきます。ただインサイドセールスの顧客育成には限界があり、すべての顧客に対して目標のKPIを達成することは難しいでしょう。インサイドセールスだけに特化し過ぎると「リード層の取りこぼし」が発生します。

そこでフィールドセールスの出番です。インサイドセールスでは相手の顔が見えないため顧客に強いプレゼンをし過ぎてしまうことで「完全なNO」をもらってしまうケースがあります。こうなると誰がどんなアクションをしても自社の顧客になってもらうことは不可能です。最悪のケースでは法人単位で「出入り禁止」になることもあります。フィールドセールスがSFAやCRMなどの管理ツールを上手に活用し、インサイドセールスで対応しきれない顧客層をフォローするのが理想です。対面でないと伝えられない情報、そして「熱意」をもってアプローチできればより高い成約率が望めます。

フィールドセールスの業務に集中し成約率アップ

フィールドセールスの部署を持っている企業のなかには担当者が電話で簡単なプレゼンをしてからアポをとり、対面クロージングまで担当するケースがあります。ひとりでいくつもの営業プロセスをこなす場合「進捗を管理しやすい」メリットがある一方で、業務に集中できないケースも出てきます。フィールドセールスの理想は「対面営業に集中すること」です。対面でのクロージングだけに特化できればアポイントのトークスキル向上も不要ですし、事前の情報収集もインサイドセールスに任せられます。

さきほど「インサイドセールスでの潜在顧客のグルーピング」について述べましたが、フィールドセールスに集中してもらうためには以下のようなグルーピングも効果的でしょう。

<フィールドセールスで効果を出すための顧客グルーピング例>

  • 成約確度見込み
  • 顧客規模
  • 対応難易度

人手不足でも売上を確保

インサイドセールスとフィールドセールス両方の人材を確保するには従来より配置人数は増え、人件費の負担もアップします。人手不足が常態化している企業の場合はさらに負担が増えるかもしれません。しかし人手不足の企業でもフィールドセールスを上手に活用すれば結果として売上の確保はできます。たとえばこれまでインサイドセールスを30人配置し、年間で約10億円の売上をあげている企業で考えてみましょう。新たな人員配置ができない場合インサイドセールスの30人を25人に減らし、フィールドセールスに5人配置すると仮定してみます。

この場合インサイドセールスの負担は若干増えるかもしれません。しかし非対面ではフォローしきれなかった「見込みの薄い顧客」も対面営業でフォローできるため、結果として全体の成約率は上がり売上を12億~13億に伸ばすことも可能です。また人員の定着化も図れるため採用コストや育成コストの削減にもつながります。

フィールドセールスを成功させるコツ

ではインサイドセールスとフィールドセールスとを連携させる場合、具体的にどのような連携方法が効果的なのか詳しく見ていきます。連携に効果的なツールもご紹介しますので、参考にしてください。

フィールドセールスとインサイドセールスそれぞれの役割・強みを理解する

フィールドセールスを成功させるにはインサイドセールスとの連携が重要である点は何度もお伝えしたとおりです。非対面営業で対応しきれない部分をフィールドセールスが補えるような組織を目指しましょう。実際の現場では両方の部署を適正に管理するマネジメントスタッフが重要な役割を果たします。

航空業界には空港で司令塔の役割を担う「ディスパッチャー」と呼ばれる職業が存在します。営業現場でもインサイドセールスとフィールドセールスの両方に指示できるディスパッチャーのような存在が必要です。インサイドセールス側から出された情報を細かく分析し、以下のような視点でフィールドセールスと連携できればより高い営業成果が出せるでしょう。

<インサイドセールスからの情報の管理方法>

  • 接触タイミング…成約できる確率がもっとも高いタイミングで連携する
  • エリア…フィールドセールスの稼働エリアを把握し、エリア担当にスピーディーに連携する
  • 難易度…対応が難しい顧客は、経験値の高い営業員へ連携するなど

情報共有を徹底的に

フィールドセールスの担当者が十分な情報を得ないまま顧客と接触してしまうと成約もできませんし顧客からのクレームに忙殺される可能性も出てきます。フィールドセールスで成果を出すにはお互いの情報連携はとても重要です。「情報連携」と聞くとインサイドセールス側からの情報だけを重視しがちですが、フィールドセールスから営業結果をフィードバックすることも非常に大切です。

<フィールドセールスからの連携内容>

  • 営業結果…成約のポイントとなった成功要因を共有する
  • 事前情報の精度…情報の精度をフィードバックする(誤った情報を連携しないようにお願いする)
  • 要望…「〇〇な情報を連携して欲しい」など、インサイドセールス側への要望

念のためインサイドセールス側から連携すべき情報についてもおさらいしておきます。

<インサイドセールスから連携すべき内容>

顧客基本情報・先方の予算・決裁権限者・商品の必要性・導入や購入希望時期など

<h3>ツールを活用する</h3>

インサイドセールスとフィールドセールス間の情報連携方法にはさまざまなやり方があります。

  • アナログ式に電話やメールで1件1件の情報を伝える
  • ExcelやGoogleスプレッドシートで共有する
  • SFAやCRMなどの顧客管理ツールを導入する

的確な情報を伝え対応履歴などを残して今後の営業成果に役立てたいなら、コストをかけてでもSFAやCRMなど管理ツールの導入をオススメします。具体的には以下のようなツールが効果的です。

<効果的なツール例>

MA(Marketing Automation)マーケティングツール
SFA(Sales Force Automation)営業支援ツール
CRM(Customer Relationship Management)顧客管理ツール

インサイドとフィールドとの情報連携でもっとも重要なのは「顧客情報の連携」と「ノウハウの蓄積」です。現場の成功失敗事例を積み重ね今後の営業戦略に活用できるようなツール導入をオススメします。

フィールドセールスで求められるスキル

最後にフィールドセールスで活躍するために必要なスキルや求められる人物像などについてもお伝えします。「フィールドセールス部門を立ち上げたいが、どんな人材がいいのかわからない」「自分自身、フィールドセールスに興味はあるものの、適正があるかどうかがわからない」といった人はぜひ参考にしてください。

コミュニケーション能力

フィールドセールスに必要なスキルでもっとも重視されるのがコミュニケーション能力です。対面で顧客と接触するとさまざまなタイプの顧客対応が必要になります。なかには会った瞬間にこれまでの対応について苦言を言われることもあるでしょう。対応が難しい顧客でも先方の要望やクレームなどに耳を傾け、一方で自社商品を積極的に販売していくコミュニケーション能力が求められます。

しかしコミュニケーション能力といっても単なる「おしゃべり好き」というだけではフィールドセールスは務まりません。顧客の課題を誰よりも早くキャッチし「顧客のお役に立ちたい」といった考え方のもとで対応できる人材が理想です。ときに自社の商材が顧客のメリットにつながらないなら、こちらから成約をお断りする気持ちも大切です。

マルチタスクスキル

成功しているフィールドセールスの担当者は単純に営業スキルだけが高いわけではありません。クロージング以外にもさまざまなスキルを備えています。フィールドセールスで成功するには営業の準備段階から成約後のフォローに至るまで、以下のようなスキルが求められます。

<フィールドセールスに求められるマルチスキル>

社内営業力インサイドセールス部門との交渉能力や管理者への提言力など
ITスキル管理ツールを使いこなすスキル
課題抽出力顧客の意見を傾聴し、問題点を抽出する能力
市場洞察力/分析力市場動向をふまえ、顧客に提案すべきベストな商材を見極めることができるスキル
提案力顧客の”心に刺さる”営業ができる能力
対人スキルどんな顧客でも円滑に対応できるコミュニケーション能力

それぞれ一朝一夕にマスターできる能力ではないでしょう。フィールドセールスに求められるスキルを兼ね備えた人材は他部署でも他社でも引く手あまたかもしれません。

マーケティング力

ひと言で”マーケティング力”といっても上記で触れた”市場分析力”といった意味もあれば「市場を創造する」といったスキルも求められます。市場分析力についていえば社会情勢や業界動向に応じ「市場のニーズ」を的確に判断できる能力は必須です。たとえば昨今の社会情勢の変化をいち早くキャッチし、オンライン営業ツールなどの販売を促進してきた企業は、大きな成果をあげています。

もし自社商品を取り巻く環境にニーズがなかったとしても市場を創ることができるかもしれません。これまで自社が構築してきた人脈や関係企業を巻き込み市場にあらたなニーズを送り込むことができれば、フィールドセールスとしても非常にやりがいがあります。社会情勢や市場は毎日変化します。フィールドセールスの感覚を研ぎ澄まし日々変わりゆく市場環境に対応できる”変化対応力”も必要です。

まとめ

フィールドセールスで成功するにはインサイドセールス部門との連携が非常に重要です。お互いが連携しながら役割分担を明確にし両方の欠点を補う組織が理想です。非対面での営業が注目される現在でも対面での説明が必要な商材や顧客は数多く存在します。フィールドセールスを上手に活用すれば売上利益の向上にも寄与できますので、ぜひ今回の記事を参考にしてください。

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