「反社チェックって何するの?」「反社チェックをする必要性は?」
このような疑問をお持ちではないでしょうか。
この記事では反社チェックが必要な理由や方法を詳しく解説していきます。
反社チェックとは
「反社チェック」とは、企業間での取引や契約を行う際に相手が反社会的勢力と関わりがあるのかを見極める作業です。
反社の定義として、暴力団と深い関わりを持つ企業や暴力団などが経営する会社のことを指します。
暴力団は組織を拡大するために、あらゆる手段を用いて資金を調達しようと考えています。
その手段の1つが暴力団であるという事実を隠し、一般の企業とつながりを得て資金調達する方法です。
そのため、政府は暴力団などの反社会的勢力の資金源を断つことを目的に、全国に「暴力団排除条例」を制定しました。
都道府県によって細かい条例内容は異なりますが、東京都の場合は1年以下の懲役・50万円以下の罰金を命じられます。
また、反社会的組織と関わることで、企業情報の勧告・公表をされる危険性もあるので注意しましょう。
反社チェックが必要な理由
反社チェックが必要な理由は次のとおりです。
- 企業のコンプライアンスおよび社会的責任のため
- 反社会的勢力への資金源を遮断するため
- 企業自体の存続・価値の維持のため
企業のコンプライアンスおよび社会的責任のため
反社チェックを行うと企業のコンプライアンスおよび社会的責任を果たすことができます。
企業はコンプライアンスを徹底し、健全な経営をする必要があるため、反社チェックをして暴力団との繋がりを徹底的に排除できれば社会的な信頼を獲得することが可能です。
また、政府や自治体は指針や条例を出しているので、企業としての社会的責任を果たすために反社チェックをする必要があります。
条例は企業に対して反社チェックの必要性を提示しており、企業間の契約をする際の書類には暴力団排除条項も設けられています。
暴力団関係者への利益供与は禁止されており、反社チェックをしない企業は社会的責任を果たしていないと判断される危険があるので注意しましょう。
社会全体が反社会的勢力を排除しようと動いているため、企業が協力するのは社会的責任を果たす上で非常に重要な意味を持ちます。
反社会的勢力への資金源を遮断するため
反社会的勢力への資金源を遮断するためというのも、反社チェックを行う理由の1つです。
なぜなら、反社チェックを実施して反社会的勢力との関係を断つことができれば、資金が回らなくなり、結果的に活動を取り締まることができるからです。
現在も反社会的勢力が活動を続けている理由の1つには、反社会性力と関係を持ち続けている企業が存在していることが挙げられます。
「取引先は暴力団だけど適法に取引も行ってくれるし売上も上がるから問題ない」と考えている場合でも、そのお金が暴力団の資金源になっているのです。
反社と取引をすると結果的に身近な人が危険な目に遭う可能性があることを、全ての企業が自覚しなければなりません。
反社チェックを実施することで身近な人を守るだけでなく、反社会的勢力の撲滅につながります。
企業自体の存続・価値の維持のため
この他に、反射チェックは企業自体の存続・価値の維持のためにも重要です。
反社チェックを行わない企業は、コンプライアンスと社会的責任を果たしていないと認識され、企業の信頼や評価を落とすことにつながってしまいます。
特に、近年はSNSで企業内部から暴露されたり、他企業から暴露される危険性も高まっているのです。
そのため、社員にも反社チェックの重要性をしっかりと教育し、働きやすい環境を作るようにしましょう。
また、仮に反社会的勢力との関わりが露呈してしまうと、一般消費者だけでなく取引先企業も無くなってしまう可能性があります。
取引先企業や一般消費者からの信用が落ちてしまうと、業績悪化も避けられません。
企業の存続・価値を維持するためにも、反社チェックを行うことは効果的です。
反社チェックを行うタイミング
反社チェックを行うタイミングとしては、”早ければ早いほど良い”ということを押さえておきましょう。
契約を締結し、金銭のやり取りを済ませてしまってからでは手遅れと言えます。
金銭のやり取りを済ませた後では既に活動資金を渡してしまい、契約書も交換してしまっているからです。
また、契約締結後の債務履行前にチェックを行ってしまうのも、手遅れになってしまいます。
契約を締結してしまっているので、反社会的勢力と関係を持っているとみなされます。
仮に、契約締結後にチェックを行い、取引先が反社と判明した場合でも対応しなければいけません。
その場合は、契約を締結してしまっているので、一筋縄ではいかない場合がほとんどです。
そのため、反社チェックを行うタイミングはできるだけ早い方がよく、特に契約を締結する前には必ず確認することを心がけましょう。
反社チェックを行う方法
反社チェックのやり方が分からない方や、やり方が分かれば徹底したいという方もいると思います。
ここでは、反社チェックを行う方法を詳しく解説していきます。
また、記事後半では反社会的勢力への対応方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
自社で調査
反社チェックを行う際、自社で独自に調査できる範囲は調べておく必要があります。
取引先の会社情報を確認したり、過去の新聞やweb記事をインターネットで検索したりするといった方法がおすすめです。
なお、会社情報を確認する場合には、商業登記情報を取得して事業目的・役員・住所・商号の変更履歴があるか確認しましょう。
登記情報に団体名が表記されている可能性は低いですが、反社会的勢力か見極める参考材料にすることは可能です。
また、新聞やweb記事を参照すると、過去に事件を起こした人物や組織を特定することができます。
特に、web新聞は文字検索機能がありスムーズに人物や組織を調べることができるので、積極的に活用しましょう。
一方で、情報量が限られているという弱みもあるので、同姓同名の人違いをしないように注意する必要があります。
もし、反社チェックのノウハウを持っていないのであれば、反社チェックツールを使用することをおすすめします。
導入コストは必要ですが、様々な情報源を元にチェック対象の企業を自動で判別可能です。
専門調査機関へ依頼
専門家にお願いしないと不安が残る方は、専門調査機関へ依頼することも選択肢の1つです。
専門調査機関は、コストがかかるというデメリットはありますが、自社で行うよりも精度を上げることができます。
ただし、注意点として依頼する調査期間の評価や実績を確認し、信頼できる機関か事前に調べる必要があります。
コストや調査方法はサービスによって異なるので、自社に合う調査機関か見極めてから活用するようにしましょう。
行政機関へ照会
その他にも、行政機関へ照会する方法もあります。この方法を行う場合には、各都道府県別に設置されている「暴力追放運動推進センター」を活用することがおすすめです。
暴力追放運動推進センターは、暴力団に関する相談や被害者の方が逃げ込む場所として情報が集まっています。
そのため、信頼性が高い情報や実際の被害内容などを詳しく知ることが可能です。
ただし、情報開示のハードルが高く、簡単に情報を知ることができない点は注意する必要があります。
反社会的勢力への対応方法
反社チェックを行った結果、反社と発覚した場合、弁護士に相談する必要があります。
ただし、弁護士に相談する前に上司や取締役に確認し、再度反社チェックを行い事実確認をしましょう。
なぜなら、事実確認をせずに弁護士に相談した場合、取引先やその周りの企業との関係性が悪化する可能性があるからです。
反社会的勢力と確定した場合、取引先企業とのやりとりに注意する必要があります。
取引先に直接、「危険だから取引しない」
と伝えてしまうと、報復やクレームなどトラブルの元になる可能性が高いです。
トラブルが発生してしまうと、自分に近しい人物に危害を加えられたり会社の存続に関わる事件を起こされたりする場合があります。
弁護士や社内の人間と相談し、穏便に関係を断つ方法を模索しましょう。
まとめ
今回は反社チェックが必要な理由や具体的な方法について詳しく解説しました。
反社チェックを行わない場合、企業の存続に関わる場合や法律に違反する可能性があるので注意する必要があります。
また、反社チェックは早いに越したことはなく、手遅れになる前に対処することが重要です。
上記で紹介した反社チェックの方法を参考に、反社会的勢力と関わることなく、健全に企業を経営しましょう。