2022年7月の有効求人倍率は、2年7ヶ月ぶりにすべての地域で1倍を超えた。昨今の社会情勢の変化を受け、一部の業界では採用を見合わせる動きもあったが、ほぼ2019年頃の採用水準に戻りつつあるといえる。2022年9月5日は高校生の求人応募がスタートし、10月には2023年度新卒者への内定通知も予定される。これから来春の新卒入社に向けた動きも活発化しそうだ。
こうしたなか、帝国データバンクでは国内1,550社の企業を対象に「企業が求める人材像について」アンケートを実施し、その内容を公開した。
※アンケート期間…2022年9月2日~5日
※有効回答企業数…1,550社(インターネット調査)
調査結果(要旨)
「企業が求める人材像は?」の設問については、「コミュニケーション能力が高い42.3%」がもっとも多く、ついで「意欲的である42.2%」と続く。競争が激化する市場で成長を続け、さまざまな働き方が尊重される職場においては、やはりコミュニケーション能力がないと活躍できない企業の実態が見え隠れする。
画像引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000536.000043465.html
企業規模別で見た採用形態については、大企業の48.8%が「新卒採用メイン」と回答し、中小企業は60.0%が「中途採用メイン」と回答している。高校生や大学生を問わず、新卒者が企業を選ぶポイントはやはり「安定性重視」といえよう。一方で、中小企業においては中途採用を積極的におこなっていることから、企業規模が小さくなるほど即戦力として働ける人材採用に特化していることがわかる。
画像引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000536.000043465.html
求める人材像について、「新卒採用メイン」と回答した企業と「中途採用メイン」と回答した企業とで、5ポイント以上の差がある項目を見ていく。下記の図にもあるように、新卒採用メインと回答した企業では「コミュニケーション能力」や「精神的にたくましい」を重視している傾向があった。一方、中途採用メインと回答した企業においては、「真面目」「誠実な人柄」「専門的なスキル」などの項目を重視している。
新卒者については、先輩社員からスキルを習得するうえでコミュニケーション能力は不可欠だ。また、長期的な人材育成を考えると、精神的なタフさも求められる。即戦力を求める中小企業においては、やはり専門スキルが重視される一方で、顧客の信頼を勝ち得るために「誠実な人柄も重視したい」といった企業の意向も見えてくる。
画像引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000536.000043465.html
アンケート調査では、具体的な企業担当者からの声も公開されており、いくつか代表的な意見をピックアップしてみた。
新卒をメインに採用する企業の声
◆物事に対して素直さを有している人が良い。また会社はチームワークであることから、協調性を有しながら、自分の考えも凛としてある人材を欲している。スキルや技術は後からでも備わるものと考えている(水産練製品製造、福島) ◆求める人材像と実際に応募してくる人材には乖離があり、理想的な採用は難しい。しかし、応募者の中にも学歴や出身校ではなく、地頭力を持つ学生はおり、育てたいと思う学生に入社してもらうようにしている(ソフト受託開発、東京) |
中途をメイン」に採用する企業の声
◆金属プレス金型製作の技術を持った人物を探しているが、なかなか労働市場に放出されない(特殊産業用機器卸売、東京) ◆建設業の資格取得者、ITに強い人材を採用したく、Webのスカウト型採用を最近取り入れた(産業用電気機器卸売、東京) ◆若年層の人材不足感はさらに増えると予想。複数の店舗を有し年齢層も広い職場のため、コミュニケーション力や誠実性は不可欠と感じる(一般食堂、三重) |
引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000536.000043465.html
競争が激化するグローバル市場で企業が成長力を維持するためには、ロイヤリティの高い社員の採用が重要なポイントだ。一方で、働き方改革がすすめられ効率性の高い業務を遂行していくには、即戦力や専門スキルも必要になってくる。
厳しい環境で勝ち続けるために、企業においてはこれまで以上に優秀な人材を採用していく必要がありそうだ。